自民党のデジタル・ニッポン2023は、日本のメタバース化? いよいよマトリックスの世界になるのかぁ?

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さて、自民党から「デジタル・ニッポン2023 ~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~」が発表されました。

ただ、これ、読んでみたら分かりますが、『霞が関文学』の独特な文章なので、何度も何度も読み直さないと理解できません(^^;

ところが!!! なんと!!!

図解資料の要約版がありました!! すごい!!

https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/205991_2.pdf

デジタル・ニッポン2023 ~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~ 要約版

こんな図解が出てくるというのは、かなり本気ですよね。

言い方がよくないかもしれないけれど、5年後には、「図解までして分かりやすく説明してたでしょ?」ってことになります。

図解になったので、ポイントが分かりやすくなった半面、「え?? これは・・・」という気にしなければならないところをまとめてみました。

そもそも、ガバメント・トランスフォーメーションって何?

この図が、表紙になっています。これを見ると、トップダウンだった国の政策やらルールを国民主体でやりましょうね!っていうことですね。

んで、その下支えを内閣がやりますよってことが描かれています。

「今までは、国民主体ではなかったのかい!」ってツッコミはさておいて(^^;)、大きくルールが変わろうとしていることを感じてください。

こんな図式を出してくるなんて、ちょっと驚きです。

では、私の気になったところを見ていきましょう。

これからガバメント・トランスフォーメーションで起きること

この中で「2024年度中に約10,000条項のアナログ規制見直し」というのが、ドキッとします!!

2024年度中ということは、あと1年半で、1万もの条項を変えようとしているということ。

さまざまな手続きが、変更されていきます。

ビジネスでの手続きはもちろん、日々の生活の中でも手続きが変わっていくのです。

一気に、こんなにも変更していくのって、「まじで大丈夫??」とか心配になります。

さらに、気になった記述が、一番右の黄色のところ。

「国民の安全安心」のところに、「有事に対応した組織横断の迅速な情報共有」と書かれています。

国民の安心安全って言う言葉から、「有事」ってことが連想できるでしょうか?

しかも、これが一番最初に書かれているのが気になるのですよね。

実際、元の霞が関文学の文章にも「有事」という言葉は9回出てきます

有事=武力戦争ではないですが、どのような有事を想定してるのか分からないにしても、日本国民が大きな災難に遭うことを想定して対処しないといけないような時代になっているということです。

言うまでもなく、昨今の国際事情を見ていると、日本の裏側で起きていることであっても、その影響を受けて石油などの資源が高騰したり、海外との物流が遅れてしまったりすることが起きます。

そういうことの影響がどこに起きてくるのか、何が起きているのかを把握し、迅速に対応するためにも情報収集や情報共有は重要になります。

でも、なんか、「有事」って書かれているのには、引っ掛かるのですよね・・・

そして、同じく黄色のところに、「労働生産性の向上に伴う所得の向上」と書いてることは、はぁ??って思ってしまいました。

元のドキュメントにも、

企業及び個人はテクノロジーを活用した新しいサービスや効率的な事業運営が可能となり、新たな成⻑産業の創出、海外展開、人手不足の解消、⽣産性の向上による所得の上昇が期待される。

デジタル・ニッポン2023 ~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~

と書かれています。

生産性の向上による所得の上昇って、どういう意味???

個人のスキルが上がって、より高度な業務がこなせるようになることで所得が上がるのなら理解できます。

しかし、テクノロジーによって生産性が上がったからといって、所得って増えるでしょうか?

めちゃくちゃベタな例でいうと・・・

これまで

一人1箱を持って、隣の倉庫へ荷物を移していた。10人で10日かかった。

フォークリフトのパレットに2人で積み上げ、一回で20箱運べるように。積み上げる人2人、フォークリフト運転手1人の計3人で2日で終わるようになった。

このようなテクノロジーの変化は、残った3人は、以前よりも所得が増えるかもしれません。

でも、いなくなった7人はどうなったのでしょうか? いや、場合によったら、元の10人はいなくて、新しく入ってきた3人なのかもしれませんよね。

私はIT業界に35年以上いるので、よーーーーーーーーく分かるのですが、テクノロジーで生産性が上がるのは確かですが、「所得が増える」ってことになった事例を知りません。

もちろん、受注が増えて効率よくなって、一時的に所得が増えることがありえます。

しかし、その需要が減ってきたら、以前よりも所得は減ります。だって、導入した機器やシステムへの投資を回収できていないとそうなりますよね。

また、新しいテクノロジーを使える人は、所得は上がりますが(先の例でいえば、フォークリフトを運転できる人)、同じ作業をしてる人は機械に仕事を奪われていくので、所得は減ります。

もちろん、その人たちが、自らスキルアップして、新たな仕事をこなせるようになり、所得を増やすことは可能ですが、すべての人がそうなるでしょうか?

生産性が上がるということは、人が行う作業が少なくなり、新たに生まれてくる仕事に対応できない場合は、一気に所得が減ります。

平均値としての所得は上がるのかもしれませんが、格差が広まるだけで、一部の所得が上がる人達と、半数以上の人たちは、所得が減ります。

宅配業務なども、テクノロジーの進化によって、自動運転の車やドローンで配送するようになると、運送料に差が出てくるでしょう。例えば、通常料金(自動運転やドローン配送)と、オプション追加で人による戸配という料金になってくるはず。

当初は、それほど差がなくても、機械に配達させた方が劇的にコストが安くなっていくので、人での配送にはオプション料金にしないと割に合わなくなってくるのです。

話はそれますが、AIやロボットで仕事がどんどん機械に置き換わっていくと、人が動くのが一番コストがかかるということになるので、多くの人はロボットが料理し、ロボットが掃除するような生活になるでしょう。結果的に、富裕層だけが人が作った料理を食べ、人が掃除する家に住むようになるんだと思います。

いろいろ書きましたが、この政府のいう「労働生産性の向上に伴う所得の向上」というのは、幻想にしか思えないのですよね・・・・。だれか、理由が分かったら教えてくださいm(__)m

ベースレジストリって何だ?

デジタルデータ連携というところに出てくる「ベースレジストリ」。これ、何なのでしょう?

法人情報、アドレス、法律って書いてあるのですが、これじゃ何のことか分かりません。

で、元の文章に書いてあるのを見ると・・・

ベース・レジストリ:公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参照される、人、法人、土地、建
物、資格等の社会の基本データであり、正確性や最新性が確保された社会の基盤となるデータベース。

デジタル・ニッポン2023 ~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~

どうやら、公的機関に登録される個人情報やら企業の情報やら、すべてのデータベースのようです。

さらっと書かれているのですが、

ベース・レジストリ、データ活用等により、データを基に政策の意思決定が行われるようになり、環境の変化が早く、社会課題が複雑化・困難化して先を見通しにくい状況下で、社会課題に適時的確に対応し、より機動的かつ効果的な行政サービスの提供が可能となる。

デジタル・ニッポン2023 ~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~

おや? このデータベースを基に政策の意思決定が行われるらしいです。

つまり、このベースレジストリに登録されているデータが全てであり、それをベースに日本の政策が決定されていくとう、とてつもなく大事なデータベースになるのです。

これ、かなりなことが書かれていますよね。

違う見方をすれば、ここに登録されていなければ、存在しないのと同じになってしまうのかもしれません。

誰一人取り残されないって??

この図には、不思議な点があって、左側の「デジタル推進委員」ってところ。

ここには、若い男女、そして、杖をついた高齢者が描かれています。その人たちが、上の人たちを「支援」することになっています。

支援する人達は誰で、支援される人達は誰なのでしょうか?

元の文章では・・・

デジタル社会を支える重要な存在である「デジタル推進委員」は、2022 年(令和4年)5月の開始から約2万5千人(2023 年(令和5年)5月現在)が担い手となり、スマートフォンの基本的な操作方法を教えたり、地域で実装されるデジタルサービスの使い方をサポートするといった活動を展開しているところであるが、⾃治体・経済団体・企業・地域ボランティア団体との連携をさらに進めるとともに、教える内容についても、デジタルの基本的な使い方に加え、マイナンバーカードや地域で実装されている
サービスの利用方法等を対象とすることで、地域の実情に沿ったデジタル実装が進展する中、高齢者や障害者等のデジタル機器やサービスに不慣れな方の不安を解消し、誰一人取り残されないための取組を推進することが可能となる。

デジタル・ニッポン2023 ~ガバメント・トランスフォーメーション基本計画~

ん? このデジタル推進委員が「高齢者や障碍者等のデジタル機器やサービスに不慣れな方」にスマホの操作とか、マイナンバーカードの使い方とかを教えるようになるそうです。

では、その「デジタル推進委員」ってのは誰??

https://www.digital.go.jp/policies/digital_promotion_staff/

デジタル推進委員の取組

ボランティアでデジタルに不慣れな人達の指導などをやってくれる方々のようですね。今のところ約2万5千人(2023 年(令和5年)5月現在)だそうです。

企業や商工会議所などに所属してる人達がメインということですが、まだまだ数が少なすぎますよね。

全体の人口の2割が不慣れだとしても、2000万人。2万5千人では、1人のデジタル推進委員が1000人に教えていくことになります。特に、地方の高齢者が多い地域には、デジタル推進委員がいないでしょうから、もっと多くの人が必要になります。

今のところは、少ないからそれなりに分かっている人が参加してるけれど、どんどん増やしていくとなると、一定数は、ややこしい人たちも入ってくるので、その辺の対策も難しくなりそう。

特にマイナポータルの使い方などを教えるってなると、マイナンバーとかパスワードとか見てしまうことに・・・。それって(以下、自粛 ^^;)。

さて、先の図の右にあるなんかよく分からない青い丸のチェックは、ベースレジストリのことっぽいです。これについては、その後のページに書かれています。

ガバメントクラウドだと!?

どうやら、このガバメントクラウドの中(上?)に、いろいろなサービスがのっかって使えるようになるようですね。

キャッシュレス決済や民間企業の業務アプリも入っています。いやはや、もうすべて、ここに集約していくことになりそうです。

ここで、気になるニュースが過去にあったのですが、知ってますか?

2021年10月26日の日経新聞のサイトに載っています。

政府クラウド、アマゾンとグーグルを選定 デジタル庁

デジタル庁は26日、行政システムのクラウド化に使うサービスについて、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と米グーグルの2社を選んだと発表した。神戸市や京都府笠置町など人口規模やデジタル化の度合いが異なる8自治体で先行して11月から試行事業を進める。

政府は2025年度までに税や住民基本台帳など17業務を中心に、自治体システムを政府共通のクラウド(ガバメントクラウド)に移す方針だ。

日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA267H40W1A021C2000000/

日本の個人から民間、政府の情報は、アマゾンやグーグルのクラウドに入れられることになるのです。しかも、政府の情報に関しては、2025年度までに移行する方針とのこと。

後、1年半後には、日本国民の情報は、アマゾンやグーグルのクラウドに入ってしまうってことです。

うーん・・・・。どうなんでしょ?

言うまでもなく、アマゾンやグーグルってアメリカの民間企業です。アメリカの法の下で活動しています。それが、何を意味するのか・・・ 言うまでもないですよね。

これ、よーーーく考えると、日本国民の生活データがクラウドに保存され、そこの情報をベースに政策が決まっていくとなると、日本というリアル世界でありながらも、クラウドの中のデータでさまざまなことが決まっていく。あなたの社会での存在も、リアルのあなたよりもクラウドの中のあなたのデータで決まっていくのです。

そう、これって、もう、メタバースと同じ。リアルがどうこうよりも、クラウドの中のデータが基本になります。まるでマトリックスと同じですよね。

あなた自身よりも、クラウドの中のあなたが信用される世界。

そんな世の中になろうとしている、いや、そこへ急ごうとしているのは、なぜなのか?

そして、そこで、あなたはどんな生活をすべきなのか? 政府が作ろうとしているデジタル社会の日本で、あなたはどのように生きていきますか?

ぜひ、あなたの思考の枠を取り払って、もっと大きく世界を捉えなおしてみてください。まったく違う未来が開けてきますよ。

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